女性は男性よりもスマートフォン(スマホ)のゲームアプリに、お金を使わない――。そんな定説が変わろうとしている。男性キャラクターとの恋愛物語を疑似体験する「恋愛シミュレーションゲーム」が人気を呼んでいる。ゲームを進めるのに必要な100~500円相当のアイテムなども売れている。お好みのキャラクターと気軽に恋を楽しめるゲームとして愛好家の輪が広がっている
■登録者数は倍増の770万人に
ある4月下旬の夜。東京・渋谷の会場に設けられたステージで、ゲーム開発のサイバードがイベントを主催した。題して「ときめく恋のTea Party~イケメンシリーズFan Night~」。同社が配信する恋愛ゲームアプリ「イケメンシリーズ」の初の公式イベントだ。小雨が降りしきる中、100人以上の女性ファンが集まり、登場人物の特別映像に歓声をあげた。
「イケメンシリーズ」の登録者数は4月時点の合計で約770万人。タイトル数が増えていることもあり、前年に比べて2倍以上に拡大した。タイトルによって異なるが、キャラクター1人あたり平均13話くらいのストーリーがある。
スマホ向けのダウンロードは原則無料。特別なストーリーやゲームで使うアイテムを購入する度に料金が発生するタイプが主流だ。登録者の分身となるアバターが着飾る髪形や洋服、小物などをアイテムとして購入する。
最後まで無料で読み進めることもできるが、「予想以上にお金を払ってアイテムを買ってもらえる」(ゲーム事業本部プロデュース統括部の朝木奈緒子エグゼクティブプロデューサー)。
■好みの髪形、洋服、小物を購入
サイバードの場合、ゲーム内のアイテムを買うにはポイントが必要となる。100ポイントは108円(税込み)。物語の続きを早く読めるアイテムも、1個100ポイントから購入できる。「次を早く読みたい」と思わせる展開にして、アイテムの購入を促している。
1話は10パートに分かれ、無料で読めるのは5パート分まで。追加の5パートを早く読もうとすれば、アイテム5個(500ポイント=540円)を買わなければならない。
さらに、ゲームをクリアするには、主人公のステータスを上げる必要がある。ゲームを続けるとステータスは上がるが、早くクリアしたり、特定の結末を実現するためには、アイテム購入が必要となることもある。こうした髪形や洋服、小物などのアイテムにも、100~900ポイントを支払う。
サイバードのイケメンシリーズを利用しているのは、主に20代半ばから30代半ばの女性。1人あたりの平均利用額は月数千円程度だが、アイテムや特別ストーリーの購入がかさんで月に1万円程度使う人もいるという。
ゲームのキャラクターの映像が流れると歓声があがる(サイバードのファンイベント)
ボルテージの2013年の調査によると、スマホや従来型の携帯電話で月1回以上ゲームして遊ぶ19~44歳の女性(約2500人)のうち、2割が恋愛シミュレーションゲームで遊んだことがあると答えた。同社の横田晃洋社長は「ゲーム好きというよりも、少女マンガ、恋愛ドラマや映画を好きな女性が多い」と指摘する。
もともと恋愛シミュレーションゲームは1990年代、家庭用ゲーム機用として発売された。女性向けゲームがスマホで広がる中、限られた時間とお金を獲得しようとする各社の競争は激しさを増しそうだ。
(商品部 岩本貴子)
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