
iPhone 6とiPhone 6 Plusについて紹介するアップルのワールドワードプロダクト担当上級副社長、フィル・シラー氏
iPhone 6とiPhone 6 Plusの共通点
アップルが2014年にリリースしたiPhone 6とiPhone 6 Plusは、基本的に同じ仕様のスマートフォンだ。高速化された第2世代64ビットプロセッサのA8と、相対高度変化や距離を計測できる機能が追加されたモーションコプロセッサM8を内蔵し、処理性能とバッテリーライフを両立した。
スマートフォンの主要機能であるカメラは、画素数こそ800万画素で変わらないが、センサーは新しいモノが採用された。高速なオートフォーカスを実現するFocus Pixelsを内蔵したiSightカメラ、F2.2でより明るく連写やHDR機能が向上した内側のFaceTimeカメラを搭載し、ビデオ撮影では毎秒60フレームのフルHDビデオや、毎秒240フレームのスーパースロービデオ撮影が可能となった。
また、端末の上部にNFCが搭載され、Touch IDと組み合わせた決済サービスApple Payが利用可能だ。その他、最大150MbpsのLTE Advancedや802.11ac対応など、通信の高速化が図られ、VoLTE、Wi-Fi Callなどの音声通話機能にも変更が加わり、高音質化が図られることになる。
さらに、同日に発表した決済サービス「Apple Pay」に対応するNFC(近接通信)を搭載しており、iPhone 5s以降搭載しているTouch IDと組み合わせて、リアル店舗やオンラインショッピングでの決済に利用する。
iPhone 6とiPhone 6 Plusの相違点はディスプレイ

iPhone 6とiPhone 6 Plusのスペースグレーモデル。ホーム画面のアイコンの感覚の広さが分かる
まずディスプレイは、4.7インチのiPhone 6が1334×750ピクセルで画素の細かさは334ppi。これに対し5.5インチのiPhone 6 Plusは1920×1080ピクセルとフルHDの解像度を実現し、4.7インチよりも細かい401ppiとなっている。いずれのディスプレイも、表面のガラスからバックライトまで非常に薄型化が図れており、iPhone 5sと比較してもその鮮やかさは驚かされるほどだ。ちょうど、艶のあるステッカーに印刷されたカラーの画像を見ているような感覚だ。
画面サイズの違いから起因する両モデルの違いは、厚みとバッテリー持続時間に出てくる。
4.7インチのiPhone 6は、6.9mmと、7mmを切る薄さを実現した。厚さ7.6mmのiPhone 5sよりも横幅は大きくなるが、この薄さと新しいデザインである丸みを帯びたエッジのおかげで、むしろiPhone 5sよりも握りやすかった。一方iPhone 6 Plusも、iPhone 5sより薄い7.1mmを実現している。
また、バッテリー容量はiPhone 6 Plusの方が大きく、大きなディスプレイでより消費電力が大きいが、それを上回るバッテリー持続時間を実現している。音楽再生は、iPhone 5sが40時間、iPhone 6が50時間だが、iPhone 6 Plusは80時間と、前モデルの倍を実現した。
Wi-Fiでのインターネットブラウジングは、それぞれ10時間、11時間だが、iPhone 6 Plusは12時間、通話時間はそれぞれ10時間、14時間、24時間となっており、画面を使わない操作における時間の伸びが著しい。
ディスプレイに起因する操作方法の変化も
iPhone 6とiPhone 6 Plusは、画面が大きくなり、端末の下部分を握ると画面上部に指が届かない。そのため、ホームボタンを2度タッチすると、画面全体を手前にたぐり寄せるように、上半分が画面下半分にスライドし、手が届くようになる。ホームボタンを押し込まず2度押しするのがコツだ。この操作方法はiPhone 6とiPhone 6 Plusに共通している。より画面が大きいiPhone 6 Plusには、「ランドスケープモード」が用意されている。簡単に言えば、iPadと同じように、縦長に構えても横長に構えても、最適な画面で利用できることを意味する。ホーム画面で端末を横長に構えると、iPhone 6 Plusでだけ、画面が回転し、長辺を上下にして利用できる。iPhone 6で同じようにしても、何も起きない。
iPhone 6とiPhone 6 Plus。画面が大きい後者にはランドスケープモードがある
同じ要領で、メール、メモなど、アップル純正のアプリを中心に、リストと内容を1つの画面に表示することができる。今後サードパーティーのアプリも対応してくるだろう。
ソフトキーボードには課題も
そしてキーボードだ。iPhone 6 Plusでは、画面が広いためキー1つずつも大きいが、空いているスペースではワンタッチでコピーやペーストができたり、カーソル移動に対応する機能が用意された。ちなみに、現段階で、iPhone 6 Plusの日本語10キーではフリックができない仕組みになっていたようだ。また、一部のAndroidデバイスのように、テンキーを左右に寄せて利用することもできなかった。iOS 8からはサードパーティー製の日本語入力キーボードも利用できるため、今後登場するキーボードにも期待したい。
なんと言っても・・・薄い
その分といえばいいのだろう、画面の大きなiPhone 6 Plusは、iPhone 6よりも米国の販売価格で100ドルずつ高い。
iPhone 6 Plusが「買い」
筆者もハンズオンの時間、次の自分の端末をどちらにするか真剣に悩みながら考えたが、結論としてはiPhone 6 Plusを選ぶことになると思う。フリック入力で日本語を打ち込んでいるためキーボードの対応についてはやや不安がある。しかし、既存のiPhoneやiPad以上に美しいディスプレイと、手に余るものの薄さでしっかりとホールドできるサイズ、そして広い画面スペースは、非常に魅力的だった。
タブレットを持たなくて良くなるばかりか、パソコンや手帳の一部の作業まで、iPhone 6 Plusに任せることができる可能性すらある。具体的には、メールやメッセージングなどのコミュニケーション、YouTube等の動画視聴、そしてカレンダーやメモなどの手帳が担ってきた手書きメモのニーズまで、筆者にとってはiPhone 6 Plusが1台、いや1枚あれば対応できるようになるだろう。
この考え方は、iPhoneを核としたエコシステムを構築していくアップルの方向性にも合致するだろう。